Chamaで休養を取り、モーテルの居心地良さから離れられなくなりそうだった。
寒い外は辛い、モーテルは暖かくて居心地がいい。
でも、前に進んだ。
10月21日(月)
当初、次の区間だけ北上しようと考えていた。
何故なら、Chamaの街から南のGhorst Ranchという場所まで無料バスが出ていたからだ。そこから北上できる。
北上して、またChamaの街に戻って、さらに次のトレイルも無料バスを使えばいいと考えた。
しかし、朝の天気では4日後の木曜日に雪だ。
なので南下に変えた。
南下に変えたのは、北の地域が高所なので、雪が積もりやすい高所を最初に歩いておいた方が安心だと考えた。
決心がついて、明るくなりモーテルを出た。
街の外れまで歩きヒッチハイクをするが、寒かった。街でこれだけ寒いと山の上は辛そうだと弱気になった。
それでもヒッチハイクしたら、車が止まってくれて、乗り込んだ。乗ってしまえば、弱気にならず前に進もうと思えるようになる。
乗せてくれたのはニューヨークからの人。
助手席の車のドアが開かなかったら、彼が運転席から降りて来て開けてくれた。力が必要なのとコツがあるらしい。彼はこの車を安く買ったと自慢していた。スバルのかなり古い車だ。壊れてる箇所がたくさんありそうだ。
峠に向かう坂道ではパワー不足でスピードダウンしていた。彼は必死に「Come on !」と声をかけていた。
峠で下ろしてくれて去っていった。
去る前にカイロをもらう。
せっかくなので貰っておいた。非常用に保管しておこう。
トレイルヘッドから直ぐに歩き出す。寒くて止まってられない。
日差しのある場所に来ると暖かいはずだが、空気が冷たくて寒い。
トレイルヘッドから3マイルほど歩いてコロラドからニューメキシコへと入った。
滞在していたモーテルのあるChamaという街はすでにニューメキシコだったが、歩きで新たに入ると気持ちが違う。
前回の雪が残ってるところもあり、深さで5cmくらいの所もあった。
5cmなら靴の中が濡れない範囲なので大丈夫。
その後は車の入れる場所へと出た。
陽だまりで寒く無いくらいになってから休む。
昼食もここで食べた。
車の通る道はしっかり踏み固められてる。
山の中は雪が融けてないない。
トレランシューズで歩いてるが、中は濡れない。
広い草原は日当たりで雪が少ない。
今は寒くて牛がいないが、この辺りは時期によっては牛が多そうだ。あれだけの多くの牛たちはどこへ消えたのだろう?
4時近くになりテントサイトを探しながら歩く。
山の中に入り見つけた。
しばらく日が当たってたので、ソーラーでスマホに充電。この小まめな対応が貴重なエネルギーになる。だから、休憩時に最初にやる手順としてソーラー充電となる。
手順
テントサイト発見→ソーラー充電開始→寝袋を干す→テントを立てる→荷物を中に入れる→防寒着を出して着始める→食事の準備→食べる→片づけ(食事関係、ソーラー充電器、寝袋)→寝る準備→翌日のトレイルの確認→寝る
夜は寒そうだ。
今日の距離:13.1マイル(21km)
10月22日(火)
予想通り夜は寒かった。
今までで一番の寒さだろう。
テント内に霜が張り付いていた。
ペットボトルの中もシャーベット状になっていた。
寒い中を歩き出す。
歩けば温かくなると言うわけにはいかず、ずっと防寒着を着たまま歩いた。
この明るくなる時が厳しい。顔に当たる空気が冷たくて痛い。
やっと日が差してきて防寒着を脱ぐ。
しかし、1着だけ。
下はズボンの上に雨具。上は二枚重ねで着ていた化繊ジャンバー1着は着たまま。
林道を歩くと氷が張ってる場所があり危ない。
ツルッといったら固い地面に叩きつけられるだろう。
でも、この林道は雪は無かった。
今は標高3000mくらいまで下って来たからだろう。
平らな場所が増えてきた。
メサと呼ばれる台地状の地形のせいだと思う。
台地状の平らな場所から下って水場に寄る。
この先、情報では水場が少ないし、あっても牛の名残を残した雰囲気のようだ。
水を持ってまた登る。
15マイルは歩いたので疲れも出てきた。
テントサイト探しだ。
良い場所を見つけた。
まだ、陽だまりで暖かい。
今夜の宿に決定。
いつもの手順で寝る。
今日の距離:18マイル(28.8km)
10月23日(水)
相変わらず寒い朝。
もう、暖かくはならないのだろうか?
防寒対策をして歩き出す。
今日は20マイル歩いた先に水場があるので、気持ちを引き締めた。最近、あまり20マイル以上歩いてない。歩いてない理由は、日が短くなって行動時間が減ってることもある。
歩き出して、日差しを浴びるまで1時間くらいはあるので、それまでは、ひたすら歩く。
そして、日が出たタイミングで着てるものを調整する。このところの日課だ。
水場があるとGuthookの地図で案内されてた池は氷に変わってる。
平らな草原を歩いてると、遥か向こうに鹿の群れ。
離れてるにもかかわらず、自分を見ると逃げていった。
ハンターが多い時期だから鹿も神経質になってるのかもしれない。
例によって、陽だまりで休憩。
ダートロードを歩く時間が長い。
でも平らなので距離を歩けそうだ。
昼頃に一般道路に出た。この道路を半マイルくらい歩く。
この道路を歩いている時のことだ。急に車が目の前に止まった。
交通量の少ない道路だ。
なんと、止まった車の助手席に乗っていたのは、以前ヒッチハイクでスクールバスに一緒に乗ったハワイから来てるWhizだった。
8月の後半に会って以来だ。
(その時の様子はCDT77〜78日目)
走る車から自分が歩いてるのを気づいてくれた。
何が必要なものはある?と聞かれたが「大丈夫だよ」というと。
「お菓子食べる?」と差し出してくれた。
袋から一握りの菓子をもらった。
突然の再会にびっくりしたまま、あまり話せなかった。
いつ歩き終えたの?とか聞けば良かったと思いながら菓子を口にして歩いた。
ここまで、10マイルくらい歩いてたので、残り10マイルを歩く元気をもらった気がした。
この後、写真を撮る余裕もなくひたすら歩く。
幸にして、下り気味の歩きやすい道。
そして、20マイルを超えた。
20マイル超えた先は久しぶりの標高3000m以下だ。
なんだか日本の山を思い出す風景。
わけのわからない標識。私有地らしい。
その脇の地味なCDT表示。
この先に水場とテントサイトがあるはずだ。
そして着いた先には大量の水が流れる川。
この川を渡った場所にテントサイトがある。
広い平らなスペースだった。
広いが、たった一つのテントだけ。
ここの標高は2600mくらい。もしかして、夜は寒く無いかな?
寒くないといいなぁ〜
今日の距離:21.8マイル(34.9km)